“緑豊かな環境”と聞いて、皆さんはどんな場所を思い浮かべるだろう。たとえば屋久島や白神山地の荘厳な森、高原のキャンプ場、里山の谷間に広がる農村風景だろうか。いくつか候補はあるだろうが、今日訪れた場所は、一言で表すと「ていねいに育てた」緑豊かな環境だ。
そんな素敵な場所で、都会に暮らす人に自分の農園を持つ夢を提供している「ファーム・キャンパス」を訪れ、農業を通して見えてくる “育てて、食べる” シンプルなライフスタイルを考えてみたい。
緑の回廊が点在するうつくしい農園
長生村の美しい景観の象徴となっているのが、屋敷を取り囲む「槙塀(まきべ)」。世代を超えて受け継がれた槙の木を刈り込んだ路地は、まさに“緑の回廊”だ。梅雨のこの時期には、常緑の深い色に黄緑色をちりばめたような新葉が一斉に芽を出し、特に美しさが際立っている。
目抜き通りから路地へ入ると、前方には青々とした田んぼが現れ、全方向のウインドウが緑一色に包まれる。と同時に、風がぴたりと止む。「槙塀」は、九十九里浜から吹きつける強い東風から、家屋だけでなく農園を守る役目も果たしているのだ。
農業を通じたコミュニティという考え方
そんな「槙塀」に囲まれたスペースにプリウスPHVを駐車すると、どっしりとした瓦屋根が特徴的な古民家の門前に「FARM CAMPUS」のサインボードが掲げてある。
ここ ファーム・キャンパスは、農薬や化学肥料に頼らない自然な農法の畑を、都会で暮らす人に提供している。それは、単に区画を貸し出すのではなく、忙しくて週末に足を運べない時にも農作業をサポートしてくれるのはもちろん、古くからある日本の農法や、西洋のオーガニック農法のノウハウを考えるワークショップやイベントを開催するなど、会員同士の交流にも力をいれている。
農園の生き物と一緒に“育てる”
農園を見に槙塀沿いの道を歩き出すと、畑で作業をしていた青年が笑顔で向かえてくれた。このファームで働く小鮒 拓丸さんは、福島県郡山市出身の27歳。震災を期に家族で長生村に移住し、もともと興味があった農業に転職したのだという。
できるだけ自然に近い環境で、安心して、おいしく食べられる作物を、ていねいに育てるのがこのファームの信条。田畑に流れる水路を覗くと、無数のタニシやタイコウチ、ザリガニがうごめいていて、作物を元気にする水なのだと実感する。ここは、自然豊かな環境で子育てをしたいと願う小鮒さん家族の理想郷なのかも知れない。
築100年を超える古民家で“食べる”
FARM CAMPUSのクラブハウスは、築100年を超える趣きのある古民家だ。ここではオーガニック農法でていねいに育てられた作物を使った食事を提供する、のうそんカフェ「nora」として営業もしており、一般の方も利用する事ができる。
槙塀を通して程よく和らいだ風がゆったりと吹き抜ける、丸いちゃぶだいが似合う畳の部屋で食事をいただいた感想は…
“ていねいに育てた穫れたての野菜を、ていねいに料理すると、こんなにもおいしいんだ!”
東京から80km。つい最近新しいハイウェイが開通して1時間も掛からずに到着する好立地に、自分の農園をと思う方は、九十九里浜のビーチを楽しんだ後で食事かたがた、どんな場所なのか見に来る価値は十分にある。
やさしい味をお腹いっぱいにつめこんで、3日間を過ごした緑いっぱいの長生村を後にした。
緑豊かな長生村の会員制オーガニック農園&カフェ
自分の農園を持つ、育てる、食べる。会員制農園
FARM CAMPUS(ファーム・キャンパス)
「トヨタ エコ&エネルギー教室」をはじめ3日間の長生村滞在中、サンデー毎日さんに同行取材していただきました。
ご案内いただいた、酒井 洋樹さん(長生村在住)にも大変お世話になりました。ありがとうございました。
明日は千葉県を離れて北上し、エネルギーの現場を訪問する予定です。
カテゴリー: ECOMISSION2013,千葉県
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