6月 20日 2013

力強く回る里美の風車

力強く回る里美の風車

この数年、電力会社からの電気だけに頼らず、地域ごとに小規模発電で自立を目指す「エネルギーの地産地消」が注目されている。自然エネルギーによる自給率が8割を超える常陸太田市里美地区(旧里美村)Gazoo Mura 里美を訪ね、エネルギーの源、“水と風”について考えてみたい。

エネルギー自給の主役は操業100年の“水力”

ここ里美地区は、阿武隈山地に囲まれた南北に延びる細長い地形に、帯状に集落が連なっている。周囲の深い山々の森が水を蓄えるダムの役割を果たし、中央を流れる里川に豊富な水を供給し続けている。大小いくつもの滝があることから分かるように、急峻な渓谷が水力発電に適しているため、すでに大正時代に3つの発電所が操業をはじめていた。

落差のある降水管の水で発電

落差のある降水管の水で発電

100年間の永きに渡り、電気をつくり続けている水力発電所は、文化庁の登録有形文化財に指定される貴重な施設。山の斜面に据えられた降水管やタービンなども操業当時から使い続けているというが、時代を感じるごつごつとしたリベットが滑らかに輝き、しっかりとメンテナンスが行き届いているのが分かる。

100年先を見越した植樹が行われている

100年先を見越した植樹が行われている

使う森から育てる森へ

林業が盛んな里美では、戦後の需要にあわせて広葉樹を伐採し、杉などの針葉樹の植林が行われた。活況に湧く時期もあったが、やがて輸入材に押されて市場が冷え込むと、放置林が目立つようになって行った。この事態を憂いだのは、水と暮らしてきた里美の人たち。森を再生するため「協同の森林づくりin里美、百年後の杜をつくりたい」というプロジェクトを2003年に立ち上げ、豊富な水源としての機能を失いつつあった森にもう一度息を吹き込む、広葉樹の植林活動を続けている。現在の需要にあった林業を活性化させる一方で、水を供給する上流部の山は、使う森から育てる森へとシフトしたのだ。

風車の発電量を表示中

風車の発電量を表示中

里美の集落を取り囲む山の頂上付近は、関東の内陸にはめずらしく通年風が吹いている事から、風力発電の適所として、2002年から風車が回っているというので訪れてみた。九十九折りの坂道を30分ほど上り、山頂に広がる里美牧場でクルマから降りると、強く冷たい風に思わず首をすくめる。見上げた先には風車がしっかりと風を捉えて元気に回っていた。

隣の「自然エネルギー展示室」という山小屋風の建物内に設置されている、風速や発電量を表示する計器によると、風速8.3m、372kWh。プロペラが40m級(最大600kWh)としては、まずまずの発電量だ。麓の村が無風だったのに、ここでは時折10mを超える風が吹いているので、風力発電にはうってつけの場所といえるだろう。

プリウスPHVの電気であったかメニュー

プリウスPHVの電気であったかメニュー

プリウスPHVの電気であったかレストラン

夕闇迫る中で冷たい風をうけて回る風車を見上げていたら、身体の芯からすっかり冷えきってしまった。電気調理器具を持参していたので、即席のレストランをオープンする事に。プリウスPHVの「ヴィークルパワーコネクター」から電気をもらい、LED照明を点灯。「電気なべ」に、おでんとウインナーを投入してスイッチON。あっという間にあったかメニューが完成し、ふーふー言いながら頬張る。陽が落ちて遠くの山々が闇に吸い込まれ、さらに気温は下がるのだが、照明とあたたかい食事のおかげで、刻々と変わりゆく山の景色をゆったりと味わう事ができた。

もともと災害時などの利用を想定したプリウスPHVの給電機能だが、環境・エネルギーの現場はアウトドアが多く、頻繁に登場する「ヴィークルパワーコネクター」の頼もしさをあらためて感じた高原でのひとコマだ。

Gazoo Mura里美訪問 プリウスPHV即席レストラン

※風車のある里美牧場、プラトー里美周辺は7月中旬まで入場規制中です詳しくはこちらへお問い合わせください。

明日はリサイクル&エネルギー施設を訪問する予定です。
お楽しみに。



カテゴリー: ECOMISSION2013,Gazoo mura,エネルギー,茨城県

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